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童話でHappy♪

ハッピーエンドの童話たちが あなたの気分をHappy♪にしちゃいます
週2回(水・土辺りに)更新します

雪だるま
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    ロバとイヌのエサ探し(イソップ物語より)

    ロバとイヌが仲良くエサを探していました。

     

    道のとちゅうで向う側からネズミが歩いて来たので、イヌがたずねました。

     

    「いやぁ、ネズミくん、この先にはエサがあったかい?」

     

    ネズミは道の先を指さしながら答えました。

     

    「うん、この先に看板(カンバン)があってね、そこにエサのある場所が書いてあったよ」

     

    エサがあると聞いてロバとイヌは大喜び。

     

    ネズミに礼を言って、

     

    「エサがあるって!」

     

    「ウン、おいしいのがあるとイイね!」

     

    と、ウキウキした気分で歩きました。

     

    しばらく歩くと、看板がありました。ネズミが言っていたものでしょう。

     

    ロバとイヌは看板に近づき、字が読めるロバが、イヌにもきこえるように読みました。

     

    「この先、三本の木が立っています。一番左側の木の下に、たくさんの麦があります、だって!」

     

    看板を読んで、麦が大好物のロバはうれしそうな声をあげました。

     

    イヌは麦が食べられないのでガッカリしましたが、ロバがうれしそうにしていたので、

     

    「麦だって、よかったねロバくん」

     

    「ヒヒヒーン、ありがとうイヌくん」

     

    「ところで、看板には他になにか書いてない、肉とかホネとか」

     

    ロバは看板を読み返しましたが、

     

    「他には、何も書いてないねぇ」

     

    「そっかぁ……」

     

    イヌはガッカリしました。

     

    ロバはキョロキョロと辺りを見わたしました。

     

    イヌがあまりにもガッカリしていたので、他にイヌのエサの情報は無いかと思ったからです。

     

    「あ、」

     

    ロバは何か見つけました。

     

    「ねぇ、ねぇ、イヌくん、あっちにも看板がありそうだよ」

     

    と、ロバは走りました。

     

    イヌはもロバを追いかけました。

     

    看板の前に来ると、ロバは書いてあることを読みました。

     

    イヌはシッポをふって、ロバの読む声をききました。

     

    「三本あるうちの、まん中の木の下には、人間が置いて行った干し草があります、だって」

     

    「干し草か〜」

     

    イヌはガッカリしました。また食べられるものでは無かったからです。

     

    「ロバくん、そっちもキミが食べるといいよ」

     

    と、イヌは力なくいいました。

     

    ロバはイヌがかわいそうでしかたありません。しかも、自分一人でエサを食べる気にもなりません。もう一度、キョロキョロと辺りを見わたしました。

     

    しかし、もう看板は見当たりませんでした。

     

    とりあえず、ロバとイヌは三本の木のところまで行ってみることにしました。

     

    さっきまでは楽しい旅だったのに、今は二人とも、ガッカリして歩いていました。

     

    そして、三本の木に着きました。

     

    左側は一面の麦畑、その横には干し草がさくさん積んでありました。

     

    その光景に、ロバは今にもよだれがこぼれてきそうでした。

     

    しかし、となりでガッカリしているイヌの姿をみると、素直に喜べませんでした。

     

    ロバは、なにか無いかとキョロキョロ探していると、遠くに緑色の何かを見つけました。

     

    「イヌくん、あの緑色のものはなんだろう」

     

    イヌも見ました。それは右側の木のずっと先にありました。

     

    「なんだか、赤いのものも見えるね」

     

    「行ってみようか」

     

    二人は右の木の向う側へ走っていきました。

     

    「あ、カンバンがあった」

     

    ロバはすぐに、書いてあることを読みました。

     

    「おいしいトマトです、だって」

     

    「トマト!」

     

    イヌはさけびました。

     

    「食べれる?」

     

    と、ロバは、おそるおそるききました。

     

    「うん、まえに食べたことある、あまずっぱくて、みずみずしくておいしいよ」

     

    「やったね!」

     

    ロバは喜びました。そして、「みずみずしいのなら、ちょうど、のどがかわいたから、ボクも食べよう!」

     

    と、ロバが言いました。

     

    二人は仲良くトマトを食べました。

     

    「おいしいね」

     

    「うん、のどがうるおうよ」

     

    ロバとイヌはおたがいの顔を見ながら喜びました。

     

    そして、しばらく二人はトマトを食べて、大満足してかえりましたとさ。

     

     

    おしまい。

     

     

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    雪だるま
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      あわれな悪魔(世界昔話より)

      「全知全能の神さま、お願いがあります」

       

      「なんなりと、聞きましょう」

       

      「わたしは悪魔です」

       

      そう言った悪魔は、背中についた、まっ黒で不気味に光る羽をキレイにたたみ、片膝をついて神さまに頭を下げました。

       

      「わたしは、悪魔でいることが、いやでいやでたまりません」

       

      「ほう」

       

      真っ白なまばゆい光を背にした神さまは、優しい声で「続けて」と悪魔にうながしました。

       

      悪魔は、立ち上がり、両手を広げて話し始めました。

       

      「人間たちは、良いことが起きると神さま、あなたに感謝します。そして、悪いことが起きると、わたしたち悪魔のせいにします」

       

      「ふむ」

       

      「確かに、悪い悪魔は大勢います。だから仕方のないことなのかもしれません。しかし、わたしは違います。わたしはいつも人間の役立つことをします」

       

      「ほーぅ、役立つことじゃと、例えば」

       

      「この間も、飼っている牛の足が沼にハマってしまい、困っている人間がいました。『また悪魔のしわざか!』と人間が言うものですから、わたしは牛を、陸に一瞬で移動させてあげました。するとどうでしょう、飼い主は『神様、キセキをありがとうございます』と、あなたに感謝したのです。助けたのはわたしなのにです」

       

      「なるほど、なるほど」

       

      「別に、牛が沼にハマったのは悪魔のせいでもなくたまたまそうなっただけです。なのに他の行いの悪い悪魔のせいで、悪いことはなんでもかんでも悪魔のせいにされてしまう。良いことをしても感謝されない。わたしは、もうたくさんです。今すぐ悪魔を辞めたいのです」

       

      「なほど、良く分かった」

       

      話を全て聞いた神さまは、何を話そうか、言葉を選んでいるかのように、少し間をおいてから、静かに話し始めました。

       

      「おまえは、生まれつき悪魔だったな」

       

      「はい」

       

      「すると、おまえは本来、他の悪魔と同じように、悪いことをすることが役割のはずじゃが、なぜ悪いことをしないのだ?」

       

      「はい、わたしは人間が、なげき、悲しむ姿を見たくはないのです」

       

      「ほう、なんだか優しい心を持っているのだなぁ」

       

      と、神さまは少し微笑みました。そして、微笑んだままこう言いました。

       

      「おまえは、なにか勘違いをしておるな」

       

      「勘違い? ですと」

       

      悪魔は意外なことを言われて、キョトンとした答えをした。

       

      「そうじゃ、勘違いだ。いいか、おまえは先ほど、牛を助けてやったと話したな」

       

      「はい、それがなにか?」

       

      「牛が沼にハマって困るのは、沼にハマった牛とそれを所有している人間だ」

       

      「はい、ですからわたしは助けてあげたのです」

       

      「そうじゃな。しかし、果たしてそれは助けになっているのかな?」

       

      「助けに、って、おかしなことをお聞きなさる、げんに人間はあなたに感謝している、それが助けになった証拠です」

       

      「果たしてそうかな?」

       

      悪魔は何も言わず、ただ小首をかしげました。

       

      神さまは話を続けます。

       

      「人間が、たいがい神に感謝するときは、願いが叶ったときじゃ。しかし、殆どの場合、人間の願いが叶ったときというのは、わしの力などまったく及ばないことがきっかけで叶うのじゃ」

       

      悪魔は小首をかしげたまま「どういう意味ですか?」

       

      「願いが叶うときに働くのは、人間の力じゃ」

       

      「人間の力、ですか」

       

      「そうじゃ、人間は自分たちの力、知恵や努力で、願いごとを叶えているのじゃ、わしの出る幕などありゃせんよ」

       

      「人間は自分たちの力で、願いを叶えていると……」

       

      「ふむ」

       

      「だとすると、なぜ人間はあなたに感謝するのですか?」

       

      「はてのう、きっと、なにもしないからじゃないのかのぉ」

       

      「なにもしない?」

       

      「そうじゃ、おまえが助けた牛じゃが、あのままにしていたらどうなっていたと思う」

       

      「そうですね、人間は困って、どうしようと泣き叫ぶのではないでしょうか?」

       

      「そうじゃな、泣き叫んだあと人間はどうすると思う?」

       

      「あなたに、助けを求めるのでは?」

       

      「そこじゃ、おまえが勘違いしているのは」

       

      「───どこでございますか?」

       

      「人間は、わしに助けを求めるよりも早く、或は同時に、どうやったら牛を助けられるか考えるのじゃ」

       

      「考える?」

       

      「そうじゃ、引っ張り上げられるか、とか、人を呼ぼうとかじゃ」

       

      「はぁ……」

       

      「そして、すぐに、なんらかの行動する。牛を助けられれば、それは良い経験としての成長になる。もし、牛を助けられなかったとしても、牛なだけに失った悲しみは、次は沼に牛を近づけるときは気をつけよう、といった知恵としての成長になるのじゃ」

       

      「牛なだけに?」

       

      「ダジャレじゃ、おもしろいか?」

       

      悪魔は無言で、神さまを見つめました。

       

      神さまは咳払いしてから続けました。

       

      「つまり、おまえがキセキを起こして助けたことは、そんな人間の成長を邪魔してしまったのじゃ、それは人間にとっては、むしろ悪いことなのじゃ」

       

      「え、悪いこと」

       

      「そうじゃ、つまり、おまえたち悪魔がやっているのは悪いことなのじゃ」

       

      「悪いこと……、するとわたしは、他の悪魔と同じと……」

       

      「残念なことだが、そういうことじゃ」

       

      「なんと……」

       

      悪魔はがっくりと肩を落としました。

       

      神さま優しい口調で言いました。

       

      「そう肩を落とすな、本当にいいことをしていれば、その内ひとりでにわしらと同じ神になれる」

       

      「本当ですか?」

       

      「あぁ、本当じゃ、それには本当に人間に役立つことはなにか、本当の助けとはなにかを、しっかりと学び、経験することじゃ」

       

      その言葉を聞いて悪魔の顔は笑いに包まれました。

       

      「分かりました神さま、よく考えてみます。ありがとうございました」

       

      「ふむ」

       

      悪魔は、黒い羽を羽ばたかせ、飛んでいきました。

       

      悪魔が過ぎ去った後で、抜けた羽が一本、空中をゆらゆらとしながら、神さまの足元に落ちました。

       

      その羽は、少し白っぽい色をしていました。

       

       

      おしまい

       

       

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      雪だるま
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        どっちもどっちな大工と客(江戸小話より)

        昔々、家具を手作りする大工さんがいました。

         

        ある日、こまかなちょうこくを入れた材木を、

        かんなでキレイにけずっているときに、お客さんがたずねてきました。

         

        「ごめんよ」

         

        「いらっしゃい!」

         

        お客さんは、二日前に、壁(かべ)に棚(たな)を

        取り付けた家のだんなさんでした。

         

        「この間、取り付けてもらった棚だが」

         

        「へい、気にってもらえましたか?」

         

        「気にいったもなにも」

         

        お客さんはしぶい顔になり「今朝、こわれちまったよ」

         

        「なんですって!」

         

        大工さんはビックリです。

         

        りっぱな棚を作り、壁にしっかりと打ち付けて来たので、

        こわれるハズがありません。

         

        大工さんは少し考えてお客さんに言いました。

         

        「まさか、お客さん、あの棚の上に、

         なにか乗せたんじゃないでしょうなぁ」

         

        今度はお客さんがビックリしました。

         

        「本を乗せたよ、棚なんだから、なにか上にのせるのは当然だろ!」 

         

        「もう、お客さん、上にものをのせるならそう言ってくれなきゃぁ、

         そしたらもっと作りようがあったのに、だいたい、あの──、」

         

        と、大工さんがそこまで言うとお客さんは、

         

        「言いわけは聞きたくない!

         お金をはらってんだから早く家に来て直せ!」

         

        と、どなり声を上げました。

         

        大工さんは申しわけなさそうな顔をして、すぐにお客さんの家に行き、

        がんじょうな棚を作り直し壁に打ち付けました。

         

         

        数日して、また、同じお客さんがたずねてきました。

         

        「あ、お客さん、棚の調子はどうです、

         今度はビクともしないでしょう?」

         

        するとお客さんはしぶい顔をして言いました。

         

        「ビクともしないもなにも、またこわれてしまったよ」

         

        「なんですって!」

         

        大工さんは、またビックリしました。

         

        「お客さん、確か本を乗せるって言ってらっしゃいましたよね」

         

        「あぁ言ったよ、だから本を乗せた、そしたらこわれた」

         

        「おかしいなぁ、本を乗せられるように作ったのに、

         こわれてしまうなんて……」

         

        大工さんはうでを組み、頭をひねりました。

         

        「お客さん、まさかとは思いますが、

         本を何冊も乗せたんじゃないでしょうねぇ」

         

        「乗せたよ、全30巻」

         

        「それだぁ、そんなに乗せたら、こわれちゃいますよ」

         

        「そんなに、って、じゃ何冊までなら乗せられたんだ?」

         

        「そんなの、1冊に決まってるじゃないですか」

         

        またもやお客さんはビックリしました。

         

        「本1冊だけ乗せるなら、棚なんて作ってもらわんよ!」

         

        「そうは言いましてもねぇ、お客さん、そもそも──、」

         

        と、大工さんが言うとお客さんは、

         

        「言いわけはいいから、今すぐ丈夫でこわれない棚に作り直せ!!

         

        と、どなり声を上げました。

         

        「わ、分かりました」

         

        大工さんはこまった顔をしながら、お客さんの家に行き、

        がんじょうでりっぱな棚を作りました。

         

        もちろん、お金はもらわずに。

         

        今度は大丈夫だろう、と大工さんが思っていると、

        二日もしないうちに、またお客さんが現れました。

         

        「お客さん、今度こそ棚はこわれてませんよね」

         

        「おっおう、棚は無事だ」

         

        「それは良かった!」

         

        大工さんは大喜びしました。

         

        すると、お客さんはうかない顔で言いました。

         

        「棚は丈夫に作ってもらったから無事なんだけどな……」

         

        「はい」

         

        「棚を打ちつけられた壁がこわれてしまって、

         外が丸見えになっちまったんだ」

         

        「あれまぁ〜」

         

        大工はおどろいて、すっとんきょな声を上げました。

         

        そしてあわれな表情をしながら、

         

        「お客さんが言う通り、30巻の本が乗る丈夫な棚を作りましたからねぇ

         その重さに、壁がたえられなかったんでしょうなぁ。同情いたしやす」

         

        「あのな、そこでお願いしたいんだが」

         

        「なんでしょう、ってお客さん、

         壁を直せっていうんじゃないでしょうねぇ」

         

        「いや、あの、そう、壁を直してくると、ありがたいのだが」

         

        「お安いごようですよ、あたしゃぁ、大工ですから」

         

        「良かった」

         

        「では、壁の修理代をいただきます」

         

        と、大工は右手をお客さんの前に出した。

         

        「ん? お代を取るのか」

         

        「はい、棚のお金しかもらっていませんからね」

         

        「お前が、棚をがんじょうに作ったせいで、壁がくずれたのにか?」

         

        そう言われて、大工さんは堂々と言いました。

         

        「それを作れとおっしゃったのはお客さんの方です。私は、あの壁では、

         棚と、本1冊分くらいしか支えられないと思っていたのですが、

         お客さんがどうしても言うので仕方なく丈夫な棚を作ったしだいです」

         

        「おまえ、それを知っていて、なんで言わなかったんだ!」

         

        「あたしゃ、何度も言おうとしましたよ、言おうとしましたが、

         そのたびに、言いわけはいい、ってお客さんがどなり声を上げて

         聞いてくれなかったんじゃないですかぁ」

         

        「そっ、それは……」

         

        お客さんは、ハァ〜、と大きなためいきをつきました。

         

        そして、壁の修理代を大工さんに払いました。

         

        「毎度あり」

         

        と、大工さんは笑顔で言って、

        大工道具を持ってお客さん家に向かいましたとさ。

         

         

        おしまい

         

         

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        雪だるま
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          おにぎりコロリン(日本の昔話より)

          むかしむかしのお話です。

           

          山のふもとに住んでいるおじいさんは、

          山にのぼって芝刈りをしていました。

           

          朝早くからまじめに芝刈りをしていると、

           

          “グ〜ゥ”

           

          と、腹の虫が鳴きました。

           

          「おやおや、もうお昼どきかのう」

           

          おじいさんは芝を刈るのをやめて、家から持って来た

          小袋を手に取ると、近くの切り株に腰かけて、

          中から竹の皮でできた包みを取り出しました。

           

          包みをひざに乗せて開くと、中から、おにぎりが三つ出てきました。

           

          「おばあさんのにぎる、おにぎりは、とってもおいしいからのう」

           

          おばあさんが作ってくれたおにぎりを食べるのが、

          おじいさんにとって、仕事中の一番の楽しみでした。

           

          「いただきます」

           

          おじいさんは手を合わせてから、両手でおにぎりを掴み、

          頬ばろうとしました。

           

          すると、ひざに乗っていた竹の皮からおにぎりが一つ

          地面に落ちてしまいました。

           

          「あんれまっ」

           

          おにぎりはそのまま、山の斜面をコロコロと転がって行きます。

           

          「待て!」

           

          一日の楽しみのおにぎりを失うのはもったいない、

          おじいさんは、手に持っているおにぎりを素早く

          竹の皮で包みなおしてから、

          転がっているおにぎりを追いかけました。

           

          おにぎりは、コロコロコロコロ、転がっていきます。

           

          「こら、待て〜ぇ」

           

          コロコロ、勢いよく転がっていくおにぎりは、

          途中にあった石にぶつかり、ぴょーん、と、

          飛び上りました。

           

          そして、そのまま、ひゅん、っと、地面に落ちると、

          コロコロと転がり、地面に開いていた穴に入ってしまいました。

           

          「ありゃりゃ、おばあさんに作ってもらったおにぎりが〜」

           

          おじいさんは、慌てて穴を覗きこみました。

           

          穴の中は暗くてなにも見えません。

           

          おじいさんは、ガッカリと肩を落としうつむきました。

           

          ため息交じりの息を吐いたおじいさんは、ふと、

          なにか歌声のようなものが聞こえたような気がして

          顔を上げました。

           

          「ん? 空耳かな?」

           

          おじいさんは疑いながらも、耳を澄ませてみると、

          やっぱり歌声が聞こえてきます。

           

          「どこから、聞こえてくるのじゃ」

           

          おじいさんはしばらく目を閉じて耳を澄ますと、

          どうやら歌声は、穴の中から聞こえてくるようです。

           

          「この穴から、歌声が?」

           

          おじいさんは四つん這いになって、

          穴に耳を近づけて目を閉じました。

           

          すると、はっきりと歌声が聞こえてきました。

           

          ♪おにぎりコロリン すっとんとん

          ♪コロコロコロリン すっとんとん

           

          ゆかいな音楽と可愛らしい歌声します。

           

          おじいさんは楽しくなり、目を閉じたまま、

          歌声に合わせて体を揺らしました。

           

          ♪おにぎりコロリン すっとんとん

          ♪コロコロコロリン すっとんとん

           

          やがて歌声は聞こえなくなってしまいました。

           

          おじいさんは満足そうな笑みを浮かべると、

          穴のそばに腰をおろして、

           

          「この穴に、おにぎりを入れると、歌声が聞こえるのかのう」

           

          とひとり言を言いました。

           

          おにぎりはまだ二個残っています。

           

          おじいさんは試しに一個、おにぎりを穴に入れてみました。

           

          すると、また、歌声が聞こえてきます。

           

          ♪おにぎりコロリン すっとんとん

          ♪また来たおにぎり すっとんとん

           

          おじいさんはシワクチャな笑顔になりながら、

          体を揺らしました。

           

          そして、竹の皮で包んだ、

          もう一個のおにぎりを手にとると、

           

          「最後のは、わしが食べよう」

           

          歌を聞きながら、おばあさんの作ってくれた

          おにぎりをおいしそうに食べました。

           

           

          やがて仕事を終えて家に帰ったおじいさんは、

          山であったことをおばあさんに話しました。

           

          話を聞いたおばあさんは、

           

          「それは楽しそうじゃのぉ〜

           明日は、おにぎりをたくさん持っていくといいねぇ」

           

          と、言ったので、おじいさんは笑顔でうなずきました。

           

          そして、次の日、

           

          おじいさんは朝から山で芝刈りをしていると、

           

          “グ〜ゥ”

           

          お腹の虫が鳴きました。

           

          「そっか、もうそんな時間か」

           

          おじいさんは、芝刈りの手を止めると、

          家に続く道の方を見ました。

           

          ちょうどおばあさんが小袋を持って

          山を登って来る姿が見えました。

           

          おじいさんが朝、山に出かけようとすると、

          おばあさんは、自分も歌声を聞きたいから、

          お昼どきに、おにぎりを持って山に行くよ、

          と言っていたのです。

           

          「お待たせしました」

           

          と言うおばあさんに、

           

          「おぉ、ちょうどよかったよぉ」

           

          おじいさんは笑顔で答えました。

           

          「こっちじゃ」

           

          おじいさんは歌声が聞こえる穴に向かって、

          坂道を降りていきました。

           

          やがて穴につくと、二人は穴のそばに座りました。

           

          おばあさんは持って来た小袋から、

          竹の皮に包まれたおにぎりを取り出しました。

           

          「十個も作ってきましたよ」

           

          「そうか、そうか、いっぱい歌が聞けそうじゃな」

           

          おじいさんはおにぎりを一つ取ると、穴の中に入れました。

           

          そして、おばあさんの方を向いて、人差し指を口の前で立てて、

          静かに耳を澄ませました。

           

          おばあさんは良く聞こえるように、

          耳に手を当て穴の方に向けました。

           

          すると、

           

          ♪おにぎりコロリン すっとんとん

          ♪コロコロコロリン すっとんとん

           

          歌が聞こえて来て、おじいさんとおばあさんは、

          お互いの顔を見てニッコリ。

           

          二人は歌声に合わせて体を揺らしながら、

          おにぎりを食べました。

           

          しばらくすると、歌が止んだので、

          今度は、おばあさんがおにぎりを穴に入れました。

           

          ♪おにぎりコロリン すっとんとん

          ♪また来たおにぎり すっとんとん

           

          「ふふふ」

           

          おばあさんは「成功!」と言わんばかりの笑顔を

          おじいさんに向けました。

           

          その後、おじいさんとおばあさんは、おにぎりが無くなるまで、

          歌を聞きながらおにぎりを食べました。

           

          やがて、おにぎりが無くなり、二人のお腹もいっぱいになりました。

           

          「どうじゃ、楽しい歌じゃったろ」

           

          と、おじいさんが言うと、

           

          「えぇ、本当に楽しい歌でした」

           

          と、おばあさんは笑顔で答えました。

           

          「さて、仕事にもどるかのぉ」

           

          おじいさんは立ち上がり、おばあさんは竹の皮の包みを

          小袋の中に入れてから、立ち上がりました。

           

          そして、おじいさんが穴のそばから離れようとしたとき、

           

          「おやまぁ〜」

           

          と、おばあさんが声を上げたのでおじいさんは振り返りました。

           

          すると穴の中から、ひょっこりと

          ねずみが顔を出しているのに気付きました。

           

          黙って見ていると、ねずみは小さな包みのようなものを

          穴の縁に置き、すぐに穴の中へ入っていきました。

           

          おばあさんはねずみが置いていった小さな包みを手に取ると、

          それは木の葉っぱでできた包みでした。

           

          おばあさんはおじいさんにも見えるようにして、

          葉っぱの包みを開けました。

           

          「まぁ〜」

           

          中には、美味しそうな木の実が何粒か入っていました。

           

          「これは、もしかして、おにぎりのお礼かのぉ」

           

          「そうかもしれませんねぇ」

           

          おじいさんは早速、木の実をつまんで口に入れました。

           

          おばあさんも一粒食べました。

           

          「おいしぃ」

           

          「おいしいのぉ」

           

          二人はシワクチャな笑顔をお互いに向けました。

           

          おばあさんは穴に向かって言いました。

           

          「楽しい歌をありがとう」

           

          「また来るでのぉ」

           

          と、おじいさんは言って二人は坂をゆっくりと

          のぼって行きました。

           

          おじいさんとおばあさんは、その後、何度も何度も

          おにぎりをたくさん作って、ねずみたちの歌を聞きに来ましたとさ。

           

           

          おしまい。

           

           

          JUGEMテーマ:創作童話

           

           

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