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童話でHappy♪

ハッピーエンドの童話たちが あなたの気分をHappy♪にしちゃいます
週2回(水・土辺りに)更新します

雪だるま
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    寒い夜を乗り切る方法(日本民話より)

    昔々の話です。

     

    その日はとても寒い日でした。

     

    空は一面、白い雲に覆われて、北風もピープゥーとふいています。

     

    街には人影もなく閑散としている中、商売人が、物売りをしていました。

     

    「とうがらしはいらんけ〜、とうがらしはいらんけ〜」

     

    唐辛子売りはかごいっぱいに、

    燃えるように真っ赤な唐辛子を入れて歩いていました。

     

    「かき〜、かきだよ〜、とれたてのかきはいらんかい〜」

     

    柿売りは、枝に付いたままの柿を何本も荷車につけて引いていました。

     

    唐辛子売りと柿売りは、道のまん中で出合い、挨拶を交わしました。

     

    「どうですか、調子は?」

     

    と唐辛子売りが言うと、柿売りが、

     

    「この天気ですからね。お客さんは見つかりそうにないですね」

     

    と、答えました。

     

    やれやれ、といった表情で、お互い笑っていると、

    二人の間に、空から白いものが落ちてきました。

     

    「とうとう、降り出したか」

     

    「そうですねぇ」

     

    二人は悩ましそうに空を見上げてから、

    やがて、道沿いにあった小屋に入りました。

     

    小屋といっても扉もなく、

    申し訳なさそうについている壁と屋根のおかげで、

    雪と風は多少は防げる程度、といったところでした。

     

    「よっこらしょ」

     

    二人は腰を下しました。

     

    「こりゃぁ、積もりそうですね」

     

    と、唐辛子売りは空を眺めて言いました。

     

    「そうですねぇ」

     

    と、柿売りは言って同じように空を眺めて、

     

    「今晩は、ここに泊まるしかなさそうですねぇ」

     

    雲に覆われて姿は見えないが、日はだいぶ傾いて、

    うす暗くなってきています。

     

    二人とも、遠くの村から物を売りに来ているので、

    すぐに家に帰ることができないのでした。

     

    「仕方ないですね」

     

    仕方ないとはいっても、雪の降る寒い夜を、

    こんな小さな小屋で越すのは、命がけのことです。

     

    空を見ていた唐辛子売りは、不安な気持ちに包まれながら

    「フーッ」と大きく息を吐きました。

     

    柿売りも、どんどん強くなる雪に覆われていく街を、

    心細くぼんやりと眺めました。

     

     

    少しの時間が過ぎました。

     

    辺りは真っ暗です。

     

    雪は降り続け、予想通りだいぶ積もってしまいました。

     

    唐辛子売りが寒さで震えていると、柿売りが、

    荷車から柿の実がついたままの枝を何本か外し、

    柿の実をとって纏め、火打ち石を使って火をともしました。

     

    「お、助かります」

     

    唐辛子はそう言いながら、火に手をかざしました。

     

    「暖はなんとかなりそうですが、困ったのは食べものですね」

     

    と、柿売りが言うと、

     

    「おや、柿売りさんには、柿があるじゃないですか。

     私なんぞ、唐辛子ですよ、辛いだけで腹の足しにもなりゃしない」

     

    唐辛子売りが苦笑いをしました。

     

    すると、柿売りは首を振りました。

     

    「そうでもないんです。実は、柿は食べると

     体温を下げてしまうんですよ。今の状態では食べない方がいい」

     

    「え、そうなんですかぁ、それは知らなかった……」

     

    唐辛子売りは、お腹がすいたら柿をもらおうと思っていたので、

    ガッカリしました。

     

    たき火はあるとはいえ、扉もなく、時折風と雪が吹き込んでくる小屋で、

    二人は寒さで身を縮ませながら、どうしたものかと悩みました。

     

    「あ、」

     

    と、唐辛子売りは何かをひらめいたのか、声を上げました。

     

    「どうしました?」

     

    柿売りが訪ねると、唐辛子売りは渋い表情で言いました。

     

    「いや、どうか分かりませんがね、私の持っている唐辛子は、

    体を温かくすることが出来るんですよ」

     

    「あぁ、確かに、唐辛子を食べると、体がカッカしてきますよね」

     

    「でしょう! でも、あまり食べ過ぎると汗が出て来て逆に

     寒くなってくるから気をつけなきゃいけないんですが、

     私が言いたいのは、それじゃなくてですねぇ」

     

    「はぁ、」

     

    「いや、どんな味になるか分からねぇんだが、甘くて体を冷やす柿と、

     辛くて体を温める唐辛子を一緒に食べたら、ちょうどいいかなぁ、

     なんて……」

     

    「おぉー」

     

    柿売りは感心した声を上げましたが、同時に、不安も覚え、

    柿と唐辛子を見比べてしまいました。

     

    そして、「やってみましょうか」

     

    と言いました。

     

    「どんな味か分かりませんよ」

     

    唐辛子売りが慌てて言うと、

     

    「どうせ、お腹を空かせてもイイことありませんし」

     

    と、柿売りは柿を一個とり唐辛子売りに渡しました。

     

    唐辛子売りは柿を手に取ると、変わりに唐辛子を一本、

    柿売りに渡しました。

     

    二人は、柿と唐辛子を両手に持ちました。

     

    「それでは、いただきましょう」

     

    「はい」

     

    二人は同時に食べ始めました。

     

    まずは柿の方から。

     

    “カリッ”

     

    「うん、甘くてうまい!」

     

    唐辛子売りが一口食べて言うと、

     

    「でしょう〜」

     

    と、柿売りが笑顔で答えました。

     

    そして次に、二人とも唐辛子をかじりました。

     

    “ポリッ”

     

    「うわっ、辛い!」

     

    柿売りが渋い顔で言うと、

     

    「でしょう〜」

     

    と、唐辛子売りが笑顔で言いました。

     

    そして、二人とも唐辛子を食べたあと、すぐに柿を食べました。

     

    “カリッ”

     

    そして、すぐに唐辛子というふうに交互に食べました。

     

    “ポリッ”

     

    “カリッ”

     

    “ポリッ”

     

    “カリッ”

     

    “ポリッ”

     

    何度か食べていくうちに気付きました。

     

    「あれ、これ、けっこういけませんか?」

     

    と、唐辛子売りが言うと、

     

    「はい、嫌いじゃない味です」

     

    と、柿売りが言いました。

     

    「まぁ、美味しいとまではいきませんが」

     

    「はい、美味しいとまではいきませんが、でも、いけますよね」

     

    「体も寒くなりませんしね」

     

    「はい、ちょうどいいです」

     

    と、二人は柿と唐辛子を交互に食べながら楽しそうに話しました。

     

    しかし、食べ過ぎるのは良くないだろうからと、

    どちらからともなく言い出し、二個ずつ食べ、お腹をみたしてから、

    たき火の番を決め、交互に寝ることにしました。

     

     

    ──次の日の朝。

     

    唐辛子売りは、太陽の照らす眩しい光で目覚めました。

     

    雪はすっかりやみ街は一面の銀世界。

     

    空は雲が見当たらないほど、一面、真っ青に広がっていました。

     

    「なんとか、一晩、越せましたね」

     

    たき火を消しながら柿売りが言いました。

     

    「助かりました」

     

    と、二人は安堵した表情で笑いました。

     

    街には、ちらほらと人が出てきました。

     

    二人は売り物を整えました。

     

    一晩、二人の命を繋いだ食べ物を持って、

    雪に覆われた街へと歩いて行きました。

     

     

    おしまい。

     

     

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    雪だるま
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      臆病なウサギたち(イソップ物語より)

      ある日、ウサギたちが集まって話をしていました。

       

      「こないだね、人間に追い回されて大変だったよ」

       

      「あ、アレ、怖いよね。耳つかまれて

       “ぶらんぶらん”されちゃうんだよね」

       

      話しながらウサギたちは“ぶるぶる”と震えました。

       

      「君たちは人間でまだいいよ」

       

      違うウサギが話を始めました。

       

      「ボクなんて上からワシが飛び降りてきて、ビックリしたよ。

       とっさに穴に逃げ込んだからよかったけど、

       生きた心地がしなかったなぁ」

       

      聞いていたウサギたちは、小さく体をすぼめました。

       

      「わたしは、狼に追い回されたわ。わたしはなんとか逃げてきたけど、

       友だちが捕まっちゃって……」

       

      と、話すウサギに、涙を流すウサギもいました。

       

      「どうしてオレたちは、こうもビクビクしながら

       生きていかなければならないんだろう」

       

      一羽のウサギがそういうと、何羽かが頷いて、

       

      「そうだよ、毎日、辺りを気にして

       オドオドしながら生きてゆかなければならない」

       

      「気が休まらないわよねぇ」

       

      「わたしの友だち、どうなったのか、考えるだけでも恐ろしいわ」

       

      「確かに、オオカミにつかまったときって、どんな感じなんだろう……」

       

      その言葉で、ウサギたちは静かにうつむいて、誰も話さなくなりました。

       

      ───少し時間を置いて、一羽のウサギが話しました。

       

      「こんな思いをして、生きていく意味があるのかなぁ……」

       

      ウサギたちは、きょろきょろとお互いの顔を見合わせました。

       

      そして、一羽のウサギがぼそりと、ひとり言のように言いました。

       

      「苦しい思いをするくらいなら、

       自分から死んだ方がましかもしれないなぁ」

       

      ウサギたちは、今発言したウサギを注目して、目が離せなくなりました。

       

      「どうだろう、ボクはこれから池に飛び込んで死のうと思う」

       

      そう言って、このウサギは、他のウサギの全員の顔を眺めて、

       

      「強制はしない、ボクと一緒にくる奴はついて来てくれ。

       自分でよーく考えて、判断してくれ」

       

      そう言うと、このウサギは池に向かって走り出しました。

       

      そのウサギを目で追いながら、

      他のウサギたちはどうしようか迷いました。

       

      「確かに、苦しい思いをするくらいなら、一思いに自分で」

       

      一羽が走り出しました。

       

      「びくびくして生きていてもしょうがない、ボクも行こう」

       

      また一羽が走り出しました。

       

      「わたしも行く」

       

      「オレも」

       

      「ボクも」

       

      結局、すべてのウサギが、池を目指して走り出しました。

       

      やがて、最初に走り出したウサギに追いついて、

      ヨコ一列に並んで池に向かって走りました。

       

      「よし、みんな、池が見えたらおもいっきり飛び込むぞ」

       

      「うん、コレで楽になるんだね」

       

      そんなことを話しながら走りました。

       

      そして、池が近づいて来ました。

       

      「それ、行くゾ」

       

      一羽が、池に向かって走るスピードを上げました。

       

      その時です。

       

      “バサバサバサ”

       

      池の草むらの辺りから、草の揺れる音が聞こえました。

       

      その後すぐに、

       

      “ポチャポチャポチャン”

       

      と、池になにかが落ちる音が聞こえました。

       

      ウサギたちは驚いて立ち止まりました。

       

      “バサバサバサ”

      “ポチャポチャポチャン”

       

      草は揺れ、池にはたくさんの波紋が広がっていきます。

       

      “バサバサバサ”

      “ポチャポチャポチャン”

       

      目を凝らしてみると、カエルたちが驚いた表情で

      必死に池に飛び込んでいるのが見えました。

       

      “バサバサバサ”

      “ポチャポチャポチャン───”

       

      やがて、全てのカエルが池に飛び込み終わると辺りは静かになりました。

       

      「みんな、今の見た?」

       

      一羽のウサギがそう言うと、他のウサギたちはうなずきました。

       

      「カエルは、ボクたちに驚いて、池に飛び込んで逃げていったね」

       

      ウンウン、とウサギたちはうなずきました。

       

      「こんなボクたちでも、驚いて、必死に逃げる生き物がいたんだね」

       

      ウンウン、とウサギたちは激しくうなずきました。

       

      「もしかして、ボクたちは、そんなに弱い存在では無いのかもしれない」

       

      ウンウンウンウン、

       

      「そりゃぁ、人間だのワシだのオオカミだのは怖いかもしれないケド、

       そんな怖がりのボクたちを、カエルは怖がってるんだ」

       

      「そうよ!」

       

      違うウサギが声を上げた。

       

      「怖がっているのはわたしたちだけじゃない、

       もっと多くの生き物も怖がって生きている!」

       

      「そうよ、なのに、なぜ、わたしたちだけ死を選ばなければならないの?」

       

      「カエルたちだってわたしたちから逃げて、必死に生きようとしているのに」

       

      ウンウンウン。

       

      ウサギたちは大きく何度もうなずきました。

       

      「死ぬなんてバカらしい」

       

      「そうよ、なに考えてたのかしら、わたし」

       

      「そうだよ、ボクたちはこうやって生きている、

       襲われた友だちの分も、生きていこうよ」

       

      「うん、みんなで協力すれば、きっと楽しく生きていける!」

       

      ウンウンウンウンウン。

       

      ウサギたちはそれぞれの顔を見て確認するようにうなずきました。

       

      そして、振り向き、いま来た道を帰っていきました。

       

      “ゲコゲコ”

       

      ウサギがいなくなると、池の中からカエルたちが、

      草むらに戻って来ました。

       

      「まったく、驚かすなよ」

       

      「やれやれ、なんだったんだ」

       

      と、ウサギのいない草むらで、フーッと溜息を吐きました。

       

      “ゲコゲコ”

       

       

      おしまい

       

       

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      雪だるま
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        小人のクツ屋さん(世界の昔話より)

        ここはお爺さんとお婆さんが長年やっているクツ屋さんです。

         

        今は、営業が終わって明かりが消えています。

         

        店内は真っ暗ですが、街灯の光が入口の窓から入って来て、

        作業台の上だけは明るくなっていました。

         

        お爺さんはいつもこの作業台でクツを作っています。

         

        いつもは営業が終わったあとは、作業台の上には

        何も乗っていないのですが、今日はなにかが乗っていました。

         

        別に、営業している訳ではないので、

        作業台になにか乗っていても問題はなさそうですが、

        そうはいかないのでした。

         

        「よいしょ、よいしょ」

         

        作業台には棚が付いていて、それを支える柱があります。

        その柱を伝って、何者かが降りてきました。

         

        その者は、街灯の光で明るくなっている作業台に降り立つと、

         

        「あれぇー」

         

        と声を出しました。

         

        そのすぐ後から、もう一人が柱を伝って降りたちました。

         

        「どうしたのさぁ、そんな間抜けな声を出して」

         

        と、言いながら、初めに降りた子の隣に立ちました。

         

        二人は、このお店に住んでいる、元気な裸んぼうの小人です。

         

        お店の営業が終わったあと、作業台はいつも二人の遊び場でした。

         

        いつもは広々としている作業台の上で、かけっこをしたりして

        遊ぶのですが、今日はなにやら物が置いてあります。

         

        「ここに物があるなんて珍しいね」

         

        一人の小人が言いました。

         

        「なんだろう、アレ」

         

        二人は作業台に置いてる物のそばに行きました。

         

        薄くて茶色い物が置いてあります。

         

        小人たちは知りませんが、それはクツを作る材料の革というものです。

         

        小人はそっと触ってみました。

         

        「あ、コレ、もしかしてお爺さんが作っているものの材料じゃない?」

         

        「あ、ホントだぁ、いつもお爺さんが作ってるやつだ、

         クツとか言ってたっけ」

         

        小人たちの周りには、いろんな形をした革がありました。

         

        「ねぇねぇ、ボク、クツ、作れるよ!」

         

        一人の小人が言うと、

         

        「ボクだって作れるさっ、いっつも上から見てるもん」

         

        二人は屋根裏に住んでいて、いつもお爺さんがこの作業台で

        仕事をしているのを見ていました。

         

        「じゃぁさぁ、今日は、これを作って遊ぼうよ」

         

        「いいね! お爺さんみたいに、作っちゃおう!」

         

        二人の小人は、薄い茶色のものを持ち上げてくっつけました。

         

        「お爺さんは、なんだか、細くてとんがったもの使っているよね」

         

        革を繋ぎ合わせる針のことです。

         

        「なんだか、棒の先に黒いものがついたやつで叩いてたりするよね」

         

        クツの底にくぎを打ちこむための金づちのことです。

         

        二人は作業台の周りを探し始めました。

         

        「あ、細くてとんがっているもの発見! よいっしょ」

         

        「叩くの発見、よっ、あー、これオモーイ!」

         

        金づちは二人がかりで持ち上げました。

         

        道具がそろうと、二人はお爺さんがやっていたことを思い出しながら、

        協力してクツを作り始めました。

         

        「これはこうやってぇ」

         

        「よっと、ここに入れればイイね」

         

        「よし、叩くよ、抑えといて」

         

        「いいよ、持ってるよ」

         

        全身を使い、作業台の上を、あっちに行ったりこっちに来たりしながら

        なんとかクツを完成させました。

         

        「ふぅー、できたね」

         

        「うん、よくできたね」

         

        「もう、外は明るくなって来たね」

         

        「うん」

         

        「疲れたね」

         

        「うん、眠いね」

         

        「うん、眠い」

         

        と言いながら、二人はちょっとフラフラしながら棚の柱を、

        よいしょ、よいしょ、とよじ登って自分たちの部屋に帰り、

        ベットでぐっすりと寝てしまいました。

         

        次の日、二人がまた屋根裏から作業台に降りてくると、

        また革が置いてありました。

         

        しかし、今日のは茶色ではなく、赤やピンクの革でした。

         

        「あ、こっちには太い棒みたいのがあるよ」

         

        「ホントだ! コレって、

         お爺さんが女の人によく渡してるやつだよね」

         

        「そうだそうだ、女の人が嬉しそうに持っていくやつだ」

         

        どうやら女性用のクツの材料が置いてあるようでした。

         

        「ボク、これ作れるよ!」

         

        「ボクだって作れる!」

         

        二人はまた協力してクツを作り始めました。

         

        革を縫い合わせたり、金づちで打ち込んだり、

        昨日も同じようなことをやりましたから、慣れたもんです。

         

        でも、クツの種類が違うので、ちょっと難しいところもあって、

        結局、クツを完成させたときは、もう外は明るくなっていました。

         

        「完成したね」

         

        「うん」

         

        「眠いね」

         

        「うん」

         

        と、言いながら、小人は棚をよじ登って屋根裏の部屋に帰っていきました。

         

        そしてまた次の日、営業が終わったあとの作業台に

        小人たちが降りてきました。

         

        「あれあれぇ」

         

        「今日も、なんか置いてあるぞ」

         

        二人が、置いてあるものに近づいて行くと、

        なにやら昨日までとは違ったものが置いてありました。

         

        「今日のは、なんか軽いね」

         

        「うん、薄いし、なんだか肌触りがいいね」

         

        肌触りが良かったので、二人は、置いてあるものにほおずりをして、

        心地いい気分になりました。

         

        「あれ、コレ穴が開いてるぞ」

         

        「あ、ホントだ、切れてて穴が開いてる」

         

        「あ、コッチもだ」

         

        「三か所穴が開いてる!」

         

        「一つは大きな穴で、その先が二つの長細い穴に分かれてる」

         

        二人は穴に、顔を入れたり、腕を通したりして

        しばらく遊んでいました。

         

        「ん? あ、これ、もしかして」

         

        「なに、なに」

         

        「こうやって、こうやって」

         

        一人の小人が、穴に頭から上半身を入れました。

         

        「ホラ、顔が出た、手も出た、ちょうどいい」

         

        「あーっ!!! これもしかして、服かも!!!」

         

        「えっ、服?」

         

        「そうだよ、ボクたちの服だよ!!!」

         

        二人は大興奮して、作業台に置かれていた二人分の

        シャツとズボンを身に付けました。

         

        「わーい、服を着たの初めてだよ!」

         

        「ボクも初めて!」

         

        「ぴったりだ!」

         

        「ぴったりだね!」

         

        服を着た二人は、向かい合ってお互いの姿を見ながら大はしゃぎ。

         

        服は全部着ましたが、まだ作業台の上には何か残っています。

         

        「あ、これ、クツじゃない?」

         

        「ホントだ! クツだ!」

         

        二人は、クツを履きました。

         

        「わーい、クツだクツだ、ボク、クツを履いてるよ!」

         

        「うん、お爺さんがいつも作ってるクツだ!」

         

        二人はクツを履いて、向き合って踊りました。

         

        「わーい、ボクらは裸じゃなーい♪」

         

        「クツだって履いているーぅ♪」

         

        「おそろいの〜ふく〜♪」

         

        「おそろいの〜くつ〜♪」

         

        作業台の上で、二人は大喜びで歌をうたってはしゃぎました。

         

         

        作業台で服とクツを身につけてはしゃいでいる小人の姿を、

        気づかれないように、扉を少しだけ開けて、

        お爺さんとお婆さんが見ていました。

         

        お爺さんは店を閉める前に切り取った革を、

        うっかり作業台に置いたまま、寝てしまったのですが、

        起きてみてクツが出来上がっていたのでびっくり!

         

        お婆さんに不思議なことがあったと話すと、

        試しに今日もクツの材料を作業台の上に置いて隠れて見てみよう、

        ということになり、二人でこっそり見ていると、

        小人が降りて来て、クツを作り始めたので二人ともびっくり!

         

        お爺さんとお婆さんは、クツを作ってくれたお礼をしようと、

        裸んぼうの小人のため、お爺ちゃんはクツを作り、

        お婆ちゃんは服を作りました。

         

        作業台の上で、大はしゃぎで喜んでいる小人の姿を、

        お爺さんもお婆さんも、目を細くして、

        満面の笑顔で見ていました。

         

         

        おしまい。

         

         

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        雪だるま
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          かさ地蔵っこ(日本の昔話)

          むかしむかし、あるところに、

          おじいさんとおばあさんが住んでいました。

           

          おじいさんとおばあさんは、二人が生活できるくらいの野菜を

          育てて生活していました。

           

          しかし、その年は天候が悪く、

          秋になっても野菜があまり収穫できませんでした。

           

          少ない食べ物で細々とした生活を送っていましたが、

          お正月も近いし、たまにはなにか美味しいものを食べようか、

          と思いました。

           

          とは言え、なにか売ってお金に変えようとしても、

          売るものがありません。

           

          どうしたもんか、と考えていたとき、おばあさんが子どものころに

          両親が、頭に乗せるカサを作っていたことを思い出しました。

           

          それではカサを作って、街で売って、食べ物を買おう!

          ということになり、おばあさんの遠い記憶を頼りに、

          二人はカサを作りはじめました。

           

          何日かかけて、なんとか売り物になりそうなカサが出来上がりました。

           

          次の日、おじいさんとおばあさんは、

          同じ数のカサを二人で背負い街まで売りに行きました。

           

          街へは家で採れた野菜を売りに、しょっちゅう行き来していたので、

          二人とも慣れていました。

           

          街までの道中には、ところどころにお地蔵さんが立っていました。

           

          道しるべのように立っているお地蔵さんの前を通るとき、

          おじいさんとおばあさんはいつも、

           

          「今日もご苦労様です」

           

          と、手を合わせ、必ず、お供えをしていました。

           

          今年は収穫量が少なく、細々と食べていくのがやっとでしたが、

          家で採れたイモを、お地蔵さまの前に置きました。

           

          街に着くまで、七体のお地蔵さんの前を通ります。

           

          おばあさんはちゃんと七個のイモを持って来ていて、

          お地蔵さんを見つけると、イモを置いて手を合わせました。

           

          やがて二人は街につきました。

           

          道の端っこに、二人は荷物を置きました。

           

          いつも野菜などを売っている場所です。

           

          おじいさんがゴザをひいて、その上に、二人でカサを並べました。

           

          そして、おじいさんは声をあげました。

           

          「カサだよ〜、カサはいらんけ〜」

           

          おばあさんはゴザの上に腰をおろし、カサを一個一個、

          布で拭いてキレイにしました。

           

          二人はしばらくカサを売り続けました。

           

           

          だいぶ時が経ち、日も傾いてきました。

           

          二人はお昼も食べずに、代わる代わるに呼び込みをしましたが、

          カサは全然売れませんでした。

           

          「やっぱり、野菜じゃないと、売れないのですかねぇ」

           

          と、おばあさんが言いうと、

           

          「おばあさんのカサは、立派なんだけどなぁ」

           

          と、おじいさんはカサをなでながらこたえました。

           

          二人は、そろそろ疲れたから、店じまいして帰ろうか、

          と話をしていると、

           

          「冷たい」

           

          空から、静かにゆっくりと雪が降って来て、

          おじいさんの頭に乗りました。

           

          「おや、雪だ」

           

          「はい、雪ですねぇ〜」

           

          おじいさんは、持っていた手ぬぐいを頭に巻いてから

          二人は、なにも言わずに、なんとなく、雪を眺めていました。

           

          「すみませ〜ん」

           

          という声が聞こえました。

           

          二人は声のした方を見ると、何人かの子どもが立っていました。

           

          「おや、どうしました?」

           

          おばあさんが声をかけると、

           

          「カサ売ってください」

           

          と、子どもがお金を差し出しながら言いました。

           

          「おや、ありがとねぇ」

           

          おばあさんは笑顔で言って、

           

          「もう、店じまいしようとしてたから、差し上げますよ」

           

          と、おじいさんに目を向けると、おじいさんは

           

          「雪も降って来たし、持っていくといいぞ」

           

          と、目を細めて言いました。

           

          おじいさんとおばあさんはお金を受け取らず、

          子ども一人一人にカサを渡しました。

           

          カサを渡し終ると、持ってきたカサが

          全部なくなってしまいました。

           

          子どもたちはカサを嬉しそうに持ち上げたり

          かぶたったりしていました。

           

          すると、うしろからきた子どもが言いました。

           

          「ありがとう、でも、悪いから、お金は置いてくね」

           

          子どもはゴザの上にお金を置くとすぐに走り出し、

          その子を追いかけるように、他の子も走りだしました。

           

          「おやおや」

           

          慌てておじいさんはお金をひろい、

          子どもたちを追いかけようとしましたが、

          子どもたちは、カサを両手で持ち上げながら遠くに行ってしまい、

          楽しそうに小道を曲がって、あっという間に姿が

          見えなくなってしまいました。

           

          「あー、ただでよかったのに、りちぎな子たちじゃのう」

           

          「ホントですね〜、ありがたい子たちですこと」

           

          と、おばあさんは子どもたちが走っていった方に手を合わせました。

           

          「じゃ、おばあさんや、このお金をこの街で全部使ってやろうな」

           

          「そうですね、きっと、あの子たちも街の子ですから、

           ここで全部使ってあげたほうが、良いでしょうなぁ」

           

          と、二人は片づけをして、お店に入ると、

          買えるだけの、たくさんのおもちを買いました。

           

          「さぁ、雪が強くならないうちに帰ろう」

           

          おじいさんとおばあさんは、おもちを食べるのを楽しみしながら、

          来た道を戻っていきました。

           

          二人は、帰り道もお地蔵さんに出会うと、手を合わせて挨拶をします。

           

          最初のお地蔵さんの前にきたところで、二人は驚きました。

           

          「おやおや、誰かがお地蔵さんにカサをかぶせてくれたのかのぉ」

           

          「そうですねぇ、雪が降っているから、

           優しい人が、かぶせてくれたのでしょうねぇ」

           

          と、言いながらおばあさんは、街で買ったおもちを一つ、

          お地蔵さんの前に置き、手を合わせました。

           

          二人は帰り道をのんびり歩いて、やがて、

          次のお地蔵さんのところにやって来ました。

           

          「おやおや、このお地蔵さんも、カサをかぶっとるのぉ」

           

          「ほんと、優しい人がいるのですねぇ」

           

          おばあさんはおもちを置き、二人はお地蔵さんに手を合わせました。

           

          そして、次のお地蔵さんのところへ行くと、

          またカサをかぶっていました。

           

          「おやおや、本当に、優しい人がおるのぉ」

           

          「ホントですねぇ〜」

           

          おばあさんはおもちを置いて、二人で手を合わせました。

           

          その後も、出合うお地蔵さんは、みんな頭にカサをかぶっていました。

           

          優しい人がおるのじゃのぉ、と二人は言いながら手を合わせ、

          そして、家のそばにある、最後のお地蔵さんのところまで

          やって来ました。

           

          「おやおや」

           

          そのお地蔵さんを見ておじいさんが少し驚いたような声を上げました。

           

          「カサをかぶっとらんのぉ」

           

          「ほんとですねぇ〜、雪が積もって可愛そうに……」

           

          「カサが、足りなかったのかのぉ……どれ」

           

          と、言っておじいさんはかぶっていた手ぬぐいを外し、

           

          「わしなんかの手ぬぐいでスマンが、かんべんしておくれな」

           

          と、お地蔵さんの頭の雪を払ってから被せました。

           

          「おじいさん、それはいいことをしましたね」

           

          おばあさんは笑顔で言うと、おもちをお地蔵さんの前に置きました。

           

          そして二人は手を合わせました。

           

          手ぬぐいを外し、あらわになったおじいさんの頭に、

          ふわっとした雪が降りかかりました。

           

          「冷たい」

           

          と、おじいさんは言ってから、

          「おや?」と何かに気付きました。

           

          「どうしました?」

           

          不思議そうにたずねるおばあさんに、

          おじいさんは遠い記憶を探るように静かな口調で言いました。

           

          「カサは何個作ったんだっけのぉ……」

           

          「えーっと、確か、三つずつ背負って街にいきましたから、

           六個ですかねぇ」

           

          「お地蔵さんは、七体いらっしゃったのぉ……」

           

          と、呟くおじいさんに、

           

          「おや?」

           

          おばあさんも何かに気付きました。

           

          「子どもたちは、何人じゃったかのぉ」

           

          「はて、数えてませんが、カサが全部なくなりましたねぇ」

           

          おじいさんとおばあさんは、顔を合わせました。

           

          「おや」

           

          「まぁ」

           

          おじいさんとおばあさんは、同時にあることに気づきました。

           

          「お金を置いていったあの子には、カサを渡したかのぉ」

           

          「覚えてませんね……」

           

          そして、二人は、目の前のお地蔵さんを見ました。

           

          おじいさんとおばあさんは、お互いの顔を見合わせると、

          おじいさんの手ぬぐいをかぶったお地蔵さんに

          手を合わせて、深々とお辞儀をしました。

           

           

          おしまい。

           

           

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