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童話でHappy♪

ハッピーエンドの童話たちが あなたの気分をHappy♪にしちゃいます
週2回(水・土辺りに)更新します

雪だるま
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    雪だるま
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      ライオンとヒツジ飼い(イソップ物語より)

      とある国に心優しい羊飼いがいました。

       

      良く働き、親も大切にし、近所の人とも気さくに話すとても気立てのいい青年でした。

       

      そんな羊飼いを良く思わない嫉妬深い者により、全く身に覚えのない罪にを被せられ、罪人として捕まってしまいました。

       

      そして裁判の結果、死刑の判決を受けました。


      この国の死刑は、密室で、身動きがとれない状態でいるところに、空腹のライオンを放つという野蛮なものでした。

       

      羊飼いは無罪を訴えますが、裁判官は聞き入れてはくれません。


      羊飼いの両親や友だち、何人もの知人も、彼はイイやつだから、どうか助けてやってくれ! 

       

      と訴えますが、それでも受け入れられず、刑は執行されることになりました。

       

      体を縛られ密室に閉じ込められた羊飼いは、なおも無罪を訴えました。


      壁の向う側にいる裁判官は、全く聞き耳を持たず、近くの役人に目配りをして、ライオンの入れてある檻の扉を開けさせました。

       

      両親や友人たちも見守る前で、

       

      “ガッタン”

       

      罪人の血で染まったような薄黒い色の扉が不気味な音をたてて開きました。

       

      少しの間が空いたあと、檻の中からライオンが、のっそ、のっそと出てきました。


      ライオンはこの刑の為に、三日間、水だけしか与えられず、狭い檻の中に閉じ込められていました。


      機嫌が悪く、生気を失った目は、ただ獲物を逃さないとばかりに鈍く光り、赤くて細い血管が白目を被っていました。

       

      “ガルルルルル〜”

       

      羊飼いは、殺される! と思いギュッと目を閉じました。

       

      “ガルルルルル〜”

       

      うなり声と共に、荒い息遣いも聞えてきます。

       

      羊飼いは、死の恐怖におののきました。

       

      鼓動も呼吸も早くなり、頭が恐怖で爆発しそうになりました。

       

      ───そんな時、

       

      羊飼いは、なぜか遠い記憶を思い出しました。

       

      それは、とても懐かしい、何年も前の記憶です───

       

       

       

      羊飼いはその日、不思議な体験をしました。

       

      「さぁ〜て、今日の放牧も終わったし、一休みするか!」

       

      一面、緑に覆われた牧場で、仕事の疲れを癒すように背伸びをすると、良く晴れた青空に、ところどころに浮かぶ白い雲が、のんびりと流れていくのが見えました。

       

      “ワンワンワン”

       

      羊飼いが飼っている牧羊犬が激しく吠えました。

       

      羊を追い込むとき以外、大人しい犬が必死に吠えているので、羊飼いは驚きました。

       

      「どうした?」

       

      羊飼いは犬に近づき、地面に膝をつき、頭を撫でてやりました。


      その時、犬が小刻みに震えているのが分かりました。

       

      「どうした、何をそんなに怖がっているんだい」

       

      犬は羊飼いの後ろの方を気にしているようで、羊飼いの顔と後ろを交互に落ち着きなく見て、何かを訴えているようでした。

       

      羊飼いは気になって、自分の後ろを眺めました。

       

      少し行ったところに白い柵があり、その向う側には緑の草原が広がっていました。


      草原の奥の方に、何やら、動くものが目に入りました。

       

      「なんだ、あれは?」

       

      羊飼いは、大丈夫だ、と犬の頭を撫でてから柵の方へ歩いて行きました。

       

      遠くに見えた動くものは、茶色い動物のようでいた。


      しかもかなり大型です。

       

      「ライオンか?」

       

      羊飼いの鼓動は少し早くなりました。


      咄嗟に、腰に差しているナイフに手を当てました。

       

      近くにライオンがいることは知っていました。


      ライオンは滅多なことが無い限り人間の側には近寄って来ません。

       

      羊の放牧の時は安全と言われている方向に進み、念のためにライフル銃を持って出かけていました。


      しかし、一度もライオンに会ったことはありませんでした。

       

      羊飼いにとってもライオンを見るのは初めての経験だったのです。

       

      ライオンは草原を歩きながら羊飼いの方へやって来ます。


      しかし、なにかヨロヨロとした足取りで、猛獣の雰囲気が全く感じられませんでした。

       

      何か変だなぁ、と、羊飼いは胸のざわめきを感じながら見つめていました。

       

      ライオンがヨロヨロとした足取りで柵の側まで来ました。

       

      羊飼いは柵ごしにライオンの顔を見ました。

       

      ライオンの目はとても澄んでいて、ときどき頭を下げ、何かを困っているような仕草をしていました。

       

      “ワンワンワン”

       

      ライオンを見た犬が吠えました。


      羊飼いは犬の方を向き、“シーッ”と人差し指を立てて大人しくさせました。


      そして柵を飛び越え、ライオンの近くに行きました。

       

      少し、ドキドキしましたが、近づいて行ってもライオンはとても大人しくしていました。


      羊飼いは、そっと手を伸ばし、羊の体を調べるときのようにライオンに触れました。


      体をさわられてもライオンは大人しくしています。

       

      羊飼いは足を調べてみました。


      すると、前足に大きなトゲが刺さっているのを見つけました。

       

      「これじゃ、痛くてヨロヨロとしか歩けないな」

       

      と、羊飼いは言いながら、ライオンの足を自分の膝に乗せ、腰に差していたナイフを手に取り、大きなトゲを取ってあげました。

       

      「痛かったろう……、さっ、これでもう大丈夫だ」

       

      羊飼いは優しくライオンの足を戻してやりました。

       

      ライオンは前足を何度か足踏みしました。

       

      そして羊飼いを見つめました。

       

      その目はとても澄んでいて、感謝しているように羊飼いは感じました。

       

      ライオンはサッ、と向きを変えると、草原の方へ軽快に走り、あっという間に姿が見えなくなりました───。

       

       

       

      ───遠い昔の不思議な経験を思い出していた羊飼いは、恐怖がだんだん小さくなって行くのを感じました。

       

      ギュッと、固く閉じていた目をゆっくりと開け、目の前にいるライオンを見つめました。

       

      “ガルルルルル〜”

       

      お腹を空かせて、目は血走り荒々しくうなり声を上げています。


      羊飼いは、このライオンに食べられるのだな、と思いながらも、なぜか落ち着いた気分で見つめました。

       

      そして、うなり声を上げているライオンに語り掛けました。

       

      「お腹が空いているのだろう……、さぁ、お食べ……」

       

      語りかけたその声は、とても優しく透きとおった声でした。

       

      すると、うなり声を上げていたライオンの態度が変化していきました。

       

      うなり声は納まり、血走っていた目も段々穏やかになっていくようでした。

       

      やがて、ライオンは落ち着いた足取りで羊飼いに近づいてきました。

       

      すぐ側まで来ると、澄んだ目で羊飼いを見つめました。

       

      そしてライオンは、そっと、羊飼いの膝の上に前足を乗せました。

       

      その時、羊飼いにも分かりました。

       

      「やぁ、元気だったかい」

       

      そう語り掛け、ライオンに微笑みました。

       

      “グルグル、グルグル”


      ライオンは喉を鳴らしながら、羊飼いの足に頭をスリスリとなすりつけました。

       

      「おい、おい、くすぐったいよ」

       

      羊飼いは笑いました。

       

      ライオンは何度も何度も足に頭をスリスリとなすりつけたあと、羊飼いに寄り添い、大人しく座り込んでしまいました。

       

      予想外の展開に裁判官はあっけに取られていました。

       

      羊飼いの両親や友人が口々に、裁判官に言いました。

       

      「ほら、猛獣だって、彼がイイやつなことは分かっている!」


      「お願い、許してあげて!」

       

      裁判官はその声を聴いて、静かに目を瞑り、少し間を置い言いました。

       

      「刑は執行された」

       

      裁判官は役人に目配りをし、その場を去っていきました。

       

      二人の役人が、寝そべっているライオンにビクビクしながら、羊飼いを縛っている紐を解いてやりました。

       

      羊飼いは自由になった両手で、ライオンを抱きしめて、

       

      「元気で生きててくれてよかった」

       

      と泣きながら言いました。

       

      ライオンも、羊飼いの頬に、何度も何度も頭をスリスリなすりつけました。

       

      “グルグル〜、グルグル〜”

       

      密室を出た羊飼いは、両親や友人の元へ帰り、ライオンは草原の方へ軽快に走り、一度だけ振り向いてから、あっという間に姿が見えなくなりました。

       

       

      おしまい

       

       

      JUGEMテーマ:創作童話

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      雪だるま
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        井戸に落ちたキツネ(イソップ物語より)

        とても暑い日、キツネはうだうだと歩いていました。

         

        ふと、井戸が目に入りました。

         

        ちょうど喉が渇いていたので水を飲もうと井戸に近づきました。

         

        そして、井戸を覗きこもうとしたとき、足を滑らせて、井戸の中に落ちてしましました。

         

        “バシャーン!!”

         

        派手に水しぶきを上げキツネは大慌て、水の中で足をバタつかせました。

         

        足をバタバタさせると、井戸は案外浅く、すぐに立ち上がることができました。

         

        「フーッ、ビックリした〜」

         

        とりあえず落ち着いたのはいいのですが、周りを見ると石の壁。

         

        見上げると、井戸の丸い縁があり、そこからうだるような真っ青な空が見えました。

         

        井戸の縁へは、飛び上れば届くか届かないかくらいの高さでした。

         

        試しに、何度か飛び上ってみましたが、あとちょっとのところで、前足が届きませんでした。

         

        全身に水を浴びて、少し涼しくなったのはいいのですが、井戸から出れないのは困りました。

         

        「どうしよ……」

         

        キツネは水を一口飲み、途方にくれました。

         


        しばらくすると、キツネの上の方から声が聞こえてきました。

         

        「キツネさん、井戸の水は美味しいですか?」

         

        キツネが見上げると、シカが覗きこんでいました。

         

        シカの顔を見たとたん、キツネはいいアイディアを思いつきました。

         

        そして、

         

        「冷たくてとても美味しいよ、シカさんも降りて飲むといいよ」

         

        キツネにそう言われ、シカは井戸の中に飛び込んできました。

         

        「冷たーい! 気持ちいい!」

         

        シカは喜んで、水を一口飲みました「美味しい!」

         

        と、笑顔でキツネの顔を見てから、ゴクゴクを水を飲み「教えてくれてありがとう」と言いました。

         

        しばらく水の冷たさを楽しんだあとでシカはキツネに尋ねました。

         

        「ところでキツネさん、ここからどうやって出ましょうか?」

         

        その声を聞いて、キツネの目は “キラーン” と怪しく光りました。

         

        「そんなのは簡単だよ。キミが前足を高く井戸の壁にかけて、梯子のようにしてくれれば、ボクが井戸の外に出れるから、そしたらキミを引っ張り上げるよ」

         

        「こうぉ?」

         

        早速、シカは言われた通りに壁に前足をかけました。

         

        「うまい、うまい」

         

        と、キツネは言いながら、シカの背中をスルスルっと通り、井戸の外に出ました。

         

        「フーっ、やっと出れた」

         

        キツネはひと息つきました。

         

        「キツネさーん、早く引っ張り上げてくださーい」

         

        井戸の中から、シカの声がします。

         

        キツネは井戸の中を、今度は落ちないように慎重に覗きこみながら言いました。

         

        「ボク一人で、キミを引っ張り上げるなんて無理だよ」

         

        「えーっ、じゃぁ、私はどうやってここから出ればいいんですか!」

         

        「そんなのは知らないよ、飛び込む前に考えなかったキミが悪い」

         

        「そんなーっ」

         

        シカはシュンとなりました。

         

        「ま、そんな訳だから、じゃぁね」

         

        と、キツネは捨て台詞を吐いてその場を立ち去りました。

         


        井戸から離れて、しばらく歩いたキツネでしたが、この暑さで井戸に閉じ込められているのはさすがに可哀想だと思いました。

         

        シカが来る前まで自分が味わっていたのですから辛さが分かります。

         

        キツネは人間に助けを求めようと街に向かいました。

         

        街に入り、近くの人間に声をかけました。

         

        すると「あ、キツネめ、しっ、しっ、こっちくんな」

         

        と、追い払われてしまいました。

         

        違う人に声をかけると、

         

        「コラッ、キツネ! 今度いたずらしたら、こいつで殴るよ!」

         

        と、ホウキを高く上げられました。

         

        キツネは普段から悪さばかりしているので、人間たちにたいそう嫌われていました。

         

        「ぶたないで!!」

         

        と、キツネは叫んでから「ボクはただ、井戸に落ちてる者がいるから、知らせにきたんだ!」

         

        「またウソついて! 誰が井戸に落ちてるっていうんだい!!」

         

        「シカさんだよ!!!!!」

         

        キツネは叫びました。

         

        「なんだって! シカだって!!!」

         

        人間が驚きました。

         

        すると「シカがどうした」と、言いながら、あちこちから人間が集まって来ました。

         

        「シカが井戸に落ちてるって、キツネが言うんだよ」

         

        「何? キツネが? まぁいい、ウソでもそれは行って確かめてみないと」

         

        「そうだそうだ、どうせキツネのウソだとしても、万が一、本当だったらシカが心配だ」

         

        と、人間たちは口々に言いながら、井戸に向かいました。

         

        キツネは、とっても複雑な思いになりながら、人間たちについて行きました。

         

        人間たちは井戸に着くと、協力しあってすぐさまシカを助けました。

         

        キツネはそれを遠くから眺めていました。

         

        すると、シカがキツネに気付き、走り寄ってきました。

         

        キツネは怒られると思って身をかがめました。

         

        「キツネさん!」

         

        「はっ、ハイ」

         

        「ありがとうございます!」

         

        「ハヒィ〜?」

         

        「キツネさんが人間たちに知らせてくれたんですね。おかげで、助かりました!!」

         

        と、シカは何度も何度もキツネに感謝の言葉をかけました。

         

        「いや、あ、あ、ど、ども〜……」

         

        感謝されるとは思っていなかったキツネは、恥ずかしいやら、シカを騙して後ろめたいやら、愛想笑いを浮かべ、ただただ時が過ぎ去るのを待っていました。

         


        おしまい

         

         

        JUGEMテーマ:人間関係

         

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        雪だるま
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          ぽっかぽか火の用心(江戸小話より)

          北風が冬の訪れを知らせてくれる寒い夜。

           

          「火のよーじん カチカチ」

           

          白い息を吐きながら、近所の子どもたちが集まって、

          何人かの大人と一緒に、拍子木をカチカチ鳴らし、

          火の取扱いには気を付けよう!

          と呼びかけながら、街を歩いていました。

           

          「マッチ1本火事のもと カチカチ」

           

          夕飯の時間帯です。

          街を歩いていると、あちらこちらからいい匂いが漂ってきます。

           

          「あ、魚の匂いがする」

           

          「コレ、絶対、野菜炒めだよ」

           

          「カレーだ」

           

          「うん、カレーだ」

           

          「あー、カレー食べたくなった!」

           

          子どもたちにたいするカレーの匂いの影響はすさまじく、

          すっかり火の用心どころではなくなってしまいました。

           

          付き添いの大人は笑顔で、

           

          「カレーは分かったから、火の用心の声出し忘れないで」

           

          「ひ、ひ、火のよーじん、カチカチ」

           

          カレーに気をとられた影響で、子どもたちの声はバラバラです。

           

          「マッ、チ、1本火事のもと〜 カチカチ」

           

          なんとも力の抜けた子どもたちの声が街に響きました。

           

          そんな時に、

           

          「ごくろうさま〜ぁ」

           

          子どもたちに声をかける大人がいました。

           

          この辺では有名な会社の社長さんの家で、

          世話好きで有名な奥さんが子どもたちを呼び止めました。

           

          「おいしいおしるこがあるから、食べなぁ」

           

          道路とお屋敷の門の間の広いスペースに、テーブルが置かれていて、

          その上にお椀が並んでいました。

           

          子どもたちは近寄っていくと、茶色いものの中に、

          丸くて白いおもちの入っていて、甘~い香りのする、

          おしるこがありました。

           

          美味しそうに湯気が上っています。

           

          「わーぁっ、」

           

          子どもたちの表情はみるみる輝きを増していきました。

           

          「寒かったろう、さぁ、お食べ」

           

          「いっただきまーす!!

           

          子どもたちは白い息を吐きながらそういうと、

          一斉に、お箸とお椀を取り、すぐさま口に運びました。

           

          「アチチチチッ」

           

          「慌てるなぁ〜」

           

          付き添いの大人たちがそう促しました。

           

          「おいし〜ぃ」

           

          「あったまる〜ぅ」

           

          「しみるね〜ぇ」

           

          と、子どもたちはそれぞれの感想を言いました。

           

          「おかわりもあるからねぇ!」

           

          「イエーイ!!」

           

          そんな子どもたちの表情を、世話好きの奥さんは

          目を細めて眺めていました。

           

          すると、1人の女の子が言いました。

           

          「ほんと、寒かったから、うれしいです」

           

          「ほんとほんと、ちょうど腹減ってたから最高だよ」

           

          子どもたちが次々話し始めました。

           

          「おばさん、ありがとう」

           

          「おばさん、いい人ですね」

           

          子どもたちの素直な一言に、

          世話好きの奥さんはちょっと苦笑いしながら、

           

          「ありがとう」

           

          と、言いました。

           

          そして、しばらくの間、子どもたちはそれぞれ好きなように、

          おしるこを美味しくいただきました。

           

          「そうだ、おばさん、おしるこのお礼に」

           

          1人の男の子が言いました。

           

          「おばさんの家だけ、火の用心は大目にみるよ」

           

          「え?」

           

          世話好きの奥さんはビックリしてそう言いました。

           

          「そうだそうだ、おばさんいい人だから、火の用心はしなくてイイよ」

           

          別の男の子が言うので、奥さんはおもしろくて仕方ありません。

           

          すると付き添っていた大人も笑顔になりながら、

           

          「おいおい、お礼したいのは分かるけど、

           火の用心を大目に見てもお礼にはならないだろう!」

           

          「えーぇ、そうなのぉ?」

           

          男の子はとぼけた声を上げました。

           

          「じゃぁさぁ」

           

          今度は別の男の子が言いました。

           

          「マッチ、3本くらいまで大目にみるよ!」

           

          「えーっ!」

           

          奥さんは驚きながら大笑い。

           

          すかさず女の子が、

           

          「バッカじゃないの、マッチ3本も使っちゃったら、

           大火事になっちゃうよ」

           

          「そっか、──ってバカはねぇだろ!」

           

          と、小競り合いが始まりそうだったので、付き添いの大人が、

           

          「はーい、それではみんな、お椀とお箸をおいて、

           奥さんにお礼を言いましょう」

           

          おしるこがまだお椀に残っていた子は、慌てて口に入れ、

          みんなお椀とお箸をテーブルに乗せて、

           

          「ありがとう」

           

          「おいしかったです」

           

          「温まりました」

           

          と、それぞれお礼を言いました。

           

          中にはハイタッチを求めてくる子もいました。

           

          「ハイ、がんばってね」

           

          奥さんは1人1人と挨拶を交わしました。

           

          最後に、付き添いの大人が、

           

          「おかげで温まりました」

           

          と、声をかけると、

           

          「わたしの気持ちの方が、ポカポカしてきましたよ」

           

          とニコニコ笑顔で言っていました。

           

          そして、

           

          「火のよーじん! カチカチ マッチ一本火事のもと! カチカチ」

           

          先ほどよりも熱をおびた子どもたちの声が、

          夜の街に響き渡りました。

           

          「火のよーじん!! カチカチ!」

           

           

          おしまい。

           

           

          JUGEMテーマ:人間関係

           

           

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          雪だるま
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            ロバに化けた泥棒(世界の昔話より)

            むかしむかし、人を疑うことを知らない、

            真面目で大人しい性格のおじいさんがいました。

             

            おじいさんは会う人、会う人に優しい笑顔で挨拶しているので、

            村ではとても有名でした。

             

            ある日、おじいさんは飼っているロバを連れて、

            市場にやって来ました。

             

            市場に来て、村人と話をしながら買い物をすることが、

            おじいさんの毎日の楽しみでした。

             

            そんなおじいさんの姿を遠巻きに見ている若い男がいました。

             

            「おい、見てみろよ、あれが真面目じいさんぜ」

             

            すると隣にいた男が、

             

            「人を疑うことを知らず、ウソをつかれても気づかないっていう、

             バカ真面目なじいさんだな」

             

            「あぁ、とても優しくて大人しいじいさんだそうだ」

             

            男たちは怪しい目つきをおじいさんに向けながら、

             

            「良いロバを引き連れてるな」

             

            「あぁ、あのロバをだまし盗ってやろうぜ」

             

            二人は不敵な笑みを浮かべました。

             

            この二人組は泥棒(どろぼう)です。

             

            人を疑うことを知らないおじいさんがいると聞いて

            村の市場に来れば会えるだろうと思い、朝から待っていました。

             

            泥棒たちは、おじいさんはだまされても気づかないほど

            人を疑わないと聞いていたので、おじいさんを上手くだまして、

            なにか盗んでやろうと考えていたのです。

             

            二人組の泥棒はヒソヒソと言葉を交わし、

            おじいさんをだましてロバを盗み出す手筈を整えました。

             

            そしてお互いの顔を見てうなずくと、

            ロバを引いて歩いているおじいさんに忍び寄って行きました。

             

            おじいさんはロバの前を歩いているので、

            泥棒が近づいてきたことに気づきません。

             

            泥棒たちは静かに、ロバに近づくと、

            首に巻かれているロープを静かにほどきました。

             

            そして、一人はロバの首に新しいロープを巻き付け、

            もう一人は、ロバの首に巻かれていたロープを

            そーっと自分の首に巻きました。

             

            一人はロバを引っ張り物蔭に連れて行き、もう一人は、

            おじいさんがロバがいなくなったことに気付かないように、

            ロバと同じような歩調で歩きました。

             

            そのまま、しばらくおじいさんの後をついて歩いていましたが、

            ロバが物蔭に隠れて見えなくなったのを確認すると、

            泥棒はおもむろに立ち止まりました。

             

            泥棒が立ち止まったので、おじいさんは正面を向いたまま、

            ロープを軽く引っ張りました。

             

            首に巻いたロープを引っ張られてちょっと痛みが走りましたが、

            泥棒は黙ってその場を動きませんでした。

             

            「はて、どうしたもんかのう」

             

            と、おじいさんはぼやきながらふり返りました。

             

            泥棒と目が合ったおじいさんは、

             

            「あれ?」

             

            と驚きの声を上げました。

             

            ロバに繋がっていると思っていたロープの先に、

            人間がいたというなんとも不思議な光景を見て、

            おじいさんはさぞかし驚いているようで、言葉もなく、

            口をあんぐりと開けていました。

             

            (しめしめ、驚いてやがる)

             

            と、心の中でほくそ笑んだ泥棒は、神妙な顔をしながら、

            話し始めました。

             

            「おじいさん、どうかビックリなさらないでください。

             わたしはあなたのロバです」

             

            と、甲高い声で言いました。

             

            おじいさんは相変わらず無言のままだったので、

            泥棒は続けました。

             

            「人間だったわたしは、悪いことをしてしまい、

             神さまから罰として、ロバの姿にされていました。

             しかし、あなたの仕事を手伝うことで、今、突然に罪が解かれ、

             こうして元の姿に戻ることができました」

             

            おじいさんは目をパッ、と見開きましたがなにも言いません。

             

            泥棒は続けました。

             

            「人間になったわたしのお願いをどうか聞いてくだい。

             何十年かぶりに私を故郷へ返してはくれないでしょうか?

             人間に戻った姿を年老いた両親に見せてやりたいのです」

             

            と、泥棒は手を組み涙を流しました。

             

            (これで、優しいじいさんは、感動して、

             オレを逃がしてくれるだろう)

             

            泥棒は、心の中で笑いました。

             

            口を開けて驚いていたおじいさんは、一つ頷き、

            口を閉じ、唾を飲み込んでからロープを握り直しました。

             

            おじいさんのゆっくりとした行動を見ながら、

             

            (はやく、オレの首からロープを取ってくれ)

             

            と思っていた泥棒の首に、突然、衝撃が走りました。

             

            それと同時に、おじいさんの怒鳴り声が聞こえてきました。

             

            「たわけーっ!!」

             

            怒鳴り声が聞こえた瞬間、首に繋がっていたロープが

            勢いよく引っ張られ、泥棒は、前のめりに倒れ込みました。

             

            (苦しい!)

             

            泥棒の首をロープが締め付けます。

             

            おじいさんの怒鳴り声が泥棒に叩きつけられました。

             

            「そんな戯言に騙されるほど、老いぼれておらぬわ!!」

             

            泥棒は、ロープに締め付けられないように、

            首とロープの間に指を入れてなんとか首を守りました。

             

            「わしのロバをどこへやった! 早く返せ!!」

             

            おじいさんの怒鳴り声は大きく、市場にいた村人たちが、

            何事かと、集まって来ました。

             

            泥棒は、なんとか首からロープを外そうともがきましたが、

            その度におじいさんが力を入れて引っ張るので、

            うまく外せませんでした。

             

            その時です、

             

            「ヒヒヒヒヒヒーーーン!!!」

             

            人だかりの後ろの方から音がしました。

             

            “パカラッ、パカラッ、パカラッ、”

             

            蹄の音を立てて、ロバが走って来たのです。

             

            ロバは必死に止めようとしているもう一人を泥棒を

            引きずりながら近づいて来ます。

             

            集まっていた村人たちは、慌てて道を空けると、

            ロバは一目散におじいさんのところに駆け寄りました。

             

            「おお、無事だったか、よく帰ってきたなぁ」

             

            おじいさんはロバの首を擦ると優しく頬擦りをしました。

             

            ロバも落ち着いた表情をして、おじいさんに寄り添いました。

             

            おじいさんがロバに気を取られたので、ロープがゆるみ、

            泥棒はすぐにロープを首から離しました。

             

            「大丈夫か!」

             

            と、ロバに引きずられてきた泥棒が声をかけると、

             

            「ダメだ、失敗だ、じいさんはだまされなかった」

             

            「コッチもだ、あのロバ、じいさんのところへ戻ろうと、

             ぜんぜん言うこと聞かないで走りだしやがった」

             

            「とにかく、ずらかるぞ」

             

            「おう」

             

            泥棒たちはその場から離れようと、走り出しました。

             

            するとどうでしょう。

             

            あっちに逃げても、こっちに逃げても、

            市場にいた村人たちに囲まれて、どこにも逃げられません。

             

            そして誰かに押され、泥棒たちは倒され、

            尻もちをつきました。

             

            地面に座っている泥棒たちを囲んでいる村人たちは、

            ジリジリと詰め寄って来てました。

             

            泥棒たちはそのままの姿勢で村人たちを

            おびえながら眺めることしかできませんでした。

             

            村人の中の一人が言いました。

             

            「あのおじいさんに迷惑かけて、

             ここから逃げられると思うなよ!」

             

            他の人たちが怖い顔でうなずきました。

             

            その表情を見て、泥棒たちは観念したように

            ションボリとうなだれました。

             

            やがて、人垣をかき分けて警察が来て、

            泥棒たちをひもで縛り、立たせました。

             

            警察署へ連れて行かれる途中で、泥棒はおじいさんに言いました。

             

            「じいさんは、人を疑うことを知らないって聞いたけど、

             あれは嘘なのかい?」

             

            おじいさんは小首を傾けて落ち着いた表情で言いました。

             

            「はてなぁ、そんなこと誰から聞いたか知らんが、

             わしはここの村人としか付き合わんし、ここの村人は、

             みんないい人だから、疑わんでいいのぉ」

             

            おじいさんののんびりとした言葉を聞いて、

            ハァー、と溜息をついた泥棒たちは、

            警察官に連れて行かれました。

             

            おじいさんは村人一人一人に感謝しました。

             

            そしてそのまま市場で買い物をしてから、ロバを引いて

            なにもなかったように帰っていきました。

             

             

            おしまい。

             

             

            JUGEMテーマ:自己啓発・自分磨き・スピリチュアル

             

             

             

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